令和5（2023）年度 第1回 問1の過去問解説！【日本語検定 4級】

問1　敬語

一

演奏を聞いたのは、「来場者」です。
立てるべき人物の行為なので、尊敬語を使います。

2　お聞きになって

が「お～になる」という尊敬語が使われていて、適切な表現ですね。
2が正解です。

1　お聞きして

では、「お～する」という謙譲語Ⅰが使われています。
謙譲語Ⅰは、自分側から立てるべき相手側へ向かう行為について使われるので、立てるべき人物の行為である「聞く」に使うのは、不適切ですね。
1は、間違いです。

3　お聞きなされて

では、「お～なさる」という尊敬語のあとに、「～れる」という尊敬の助動詞が使われています。
尊敬語+尊敬語なので、二重敬語になっていて不適切ですね。
3は、間違いです。

二

ショッピングモールを利用する「お客様」への注意書きです。
立てるべき人物の行為なので、尊敬語を使います。

2　ご遠慮ください

が「ご～くださる」という尊敬語が使われていて、適切な表現ですね。
2が正解です。

1　ご遠慮してください

では、「ご～する」という謙譲語Ⅰが使われています。
謙譲語Ⅰは、自分側から立てるべき相手側へ向かう行為について使われるので、立てるべき人物の行為である「聞く」に使うのは、不適切ですね。
1は、間違いです。

3　ご遠慮されてください

では、「ご～する」という謙譲語Ⅰのあとに、「～れる」という尊敬の助動詞が使われています。
謙譲語Ⅰは、自分側から立てるべき相手側へ向かう行為について使われるので、立てるべき人物の行為である「聞く」に使うのは、これも不適切ですね。
3は、間違いです。

三

叔母が海外勤務することを聞いたのは、「私（話し手）」ですね。
自分の行為を立てるのは適切でないので、尊敬語は使いません。
また、「聞く」という行為は、「父→私（話し手）」です。
「私（話し手）」を立てることはないので、謙譲語Ⅰも使いません。

1　聞きました

という「ます」という丁寧語のみの表現が適切ですね。
1が正解です。

2　お聞きしました

では、「お～する」という謙譲語Ⅰが使われています。
謙譲語Ⅰは、自分側から立てるべき相手側へ向かう行為について使われるので、これでは「私（話し手）」を立ててしまっていますね。
2は、間違いです。

3　お聞きになりました

では、「お～になる」という尊敬語が使われています。
尊敬語は、その行為をする人を立てるために使われるので、これでは「私（話し手）」を立ててしまっていますね。
3は、間違いです。

四

先輩に対して、「私（話し手）」が委員会に出席できるかを答えています。
「私（話し手）」の行為なので、尊敬語は使いません。
また、「出席する」という行為が向かう先は「委員会」なので、謙譲語Ⅰも使いません。

3　出席いたします

では、「する」の謙譲語Ⅱである「いたす」が使われています。
自分側の行為を聞き手（委員長）に対して、丁重に述べることができていますね。
3が正解です。

1　ご出席します

では、「ご～する」という謙譲語Ⅰが使われています。
「出席する」という行為が向かう先である「委員会」を立ててしまっているので、不適切な表現ですね。
1は、間違いです。

2　出席いたされます

では、「する」の謙譲語Ⅱである「いたす」のあとに、尊敬の助動詞「～れる」が続いています。
「私（話し手）」の行為に尊敬語を使うことはできないので、不適切な表現ですね。
2は、間違いです。

五

博物館の受付の人に対して、音声ガイドを借りたいことを伝えています。
「借りる」のは、「私たち（話し手）」なので、尊敬語は使いません。
「借りる」という行為が向かうのは、「私たち（話し手）→博物館」なので、謙譲語Ⅰが適切です。

1　お借りしたい

では、「お～する」という謙譲語Ⅰが使われています。
行為の向かう先を立てることができているので、適切な表現ですね。
1が正解です。

2　お借りされたい

では、「お～する」という謙譲語Ⅰのあとに、尊敬の助動詞「～れる」が使われています。
「借りる」という自分側の行為に尊敬語が使われているので、不適切な表現ですね。
2は、間違いです。

3　お借りになられたい

では、「お～になる」という尊敬語のあとに、尊敬の助動詞「～れる」が使われています。
尊敬語+尊敬語の二重敬語になっていますし、それ以前に、「借りる」という自分側の行為に尊敬語は不適切ですね。
3は、間違いです。

過去問で確認したいこと

過去問演習では、
「どのような知識が」
「どのように出題されるか」
の2点を確認しましょう。

特に、

• 敬語
• 文法

の2分野は、「解説を見れば、なんとなくわかるんだけど…」となりやすいのではないかと思います。

過去問を解いたときに、間違えた問題ごとに意識したいのは、

「そもそも知識がなくて解けなかった」
「知ってはいたが、問題になると解けなかった」

のどちらなのかを明確にすることです。

前者であれば、過去問を丁寧に解きながら、1つずつ知識の穴を埋めていきましょう。

• 語彙
• 言葉の意味
• 漢字

のような分野であれば、まとめて暗記していけるのですが、

• 敬語
• 文法

のような分野は、問題の文脈とセットで取り組むのがおススメです。

また、後者であれば、多くの練習問題で知識と問題のギャップをなくしていきましょう。
「わかる→できる」になることで、問題を解くスピードを上げていくことが大切です。

日本語検定は、1級から4級で、

• 語彙・言葉の意味・漢字などの聞かれる範囲が異なる
• 1問1問の難易度が異なる

という違いはあるものの、

• 敬語
• 文法

のような難易度が高い分野で必要な知識に大きな差があるわけではありません。

敬語であれば、

• 尊敬語
• 謙譲語Ⅰ
• 謙譲語Ⅱ
• 丁寧語
• 美化語

の5分類がそれぞれ「どのように定義されているか？」「どのような語が該当するか？」を整理しておきましょう。
その際に、単語を覚えていくのではなく、文章の中で登場人物を確認しながら見ていくのがおススメです。

文法であれば、

• 動詞
• 副詞
• 助詞

などの品詞ごとに、それぞれの語のもつ用法（使い方）を整理しておきましょう。

例えば、

買い物に行くので、8時に駅に集合してください。

には、3つの格助詞「に」がありますが、すべて用法が違います。

買い物に

の格助詞「に」は、「行く」という移動の目的を表しています。

また、

8時に

の格助詞「に」は、時を

駅に

の格助詞「に」は、「集合する」という移動の着点を表していますね。

まとまった参考書・問題集はないので、過去問で出てきた語の用法を1つずつノートなどにまとめていくのがおススメです。

この「日本語検定ナビ」では、分野ごとの練習問題を多数掲載しています。

• 過去問を解いていて、不安が残る分野
• もっと解くスピードを上げたい分野

があれば、ぜひご活用ください。

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