著作権の関係上、問題は掲載していません。
以下をご用意の上で、ご確認ください。
問1 敬語
一
ウチの立場の人物の行為・状態には、尊敬語を使わない。
選択肢で使われているのは、動詞の「喜ぶ」ですね。
それぞれの選択肢を見てみると、
1 (お喜びして)いました
は、「お~する」という謙譲語Ⅰ
2 (喜んで)いました
は、敬語が使われていないそのままの表現
3 (お喜びになって)いました
は、「お~になる」という尊敬語が使われていることがわかります。
尊敬語とは?
相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
謙譲語Ⅰとは?
自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
「喜ぶ」の主体は、ウチの人物であるである「父」です。
この「喜ぶ」には、立てるべき相手側の人物がいないので、謙譲語Ⅰである
1 (お喜びして)いました
は、違います。
また、ウチの人物である「父」に尊敬語を使うのは不自然なので、
3 (お喜びになって)いました
も選択肢から外れますね。
残った
2 (喜んで)いました
が正解です。
二
「渡す」という動作は、係長から部長に対して行われる。
選択肢で使われているのは、動詞の「渡す」ですね。
それぞれの選択肢を見てみると、
1 (お渡しください)ませんでしょうか
は、「お~くださる」という尊敬語
2 (お渡ししていただけ)ませんでしょうか
は、「お~する」という謙譲語Ⅰ
3 (渡してもらえ)ませんでしょうか
は、敬語が使われていないそのままの表現が使われていることがわかります。
尊敬語とは?
相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
謙譲語Ⅰとは?
自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
まず、発話の相手が「取引先の係長」というソトの人物なので、敬語が使われていない
3 (渡してもらえ)ませんでしょうか
は、間違いです。
先ほどの「喜ぶ」とは違い、「渡す」は、3つの要素を必要とします。
- 「渡す」という動作をする主体 … 取引先の係長
- 「渡す」という動作の相手 … 係長の上役
- 「渡す」という動作の対象 … 心ばかりの品(昇進祝い)
敬語が関係するのは、①と②です。
一見、係長の上役が「渡す」という動作の相手なので、謙譲語Ⅰが使われている
2 (お渡ししていただけ)ませんでしょうか
が正解だ!と思ってしまうかもしれませんが、ちょっと待ってください。
謙譲語Ⅰとは、
- 自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて
- その向かう先の人物を立てて述べるもの。
のことです。
今回、「渡す」という動作を行うのは、自分側ではなく、聞き手である「取引先の係長」ですね。
自分側の動作ではなく、謙譲語Ⅰを使うことができないので、
2 (お渡ししていただけ)ませんでしょうか
は、不自然です。
動作を行う「取引先の係長」を尊敬語を使って立てている
1 (お渡しください)ませんでしょうか
が良いですね。
1が正解です。
三
教示してもらう(教えてもらう)のは、話し手である経済雑誌の編集者。
選択肢で使われているのは、動詞の「教示する」ですね。
それぞれの選択肢を見てみると、
1 (ご教示になりたく)
は、「ご~になる」という尊敬語
2 (ご教示されたく)
は、「ご~する」という謙譲語Ⅰ
3 (ご教示賜りたく)
は、「賜る(たまわる)」という謙譲語Ⅱが使われていることがわかります。
尊敬語とは?
相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
謙譲語Ⅰとは?
自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
謙譲語Ⅱとは?
自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
今回の選択肢は、すべて
- 私(経済雑誌の編集者)が
- 先生(経済学者)に
- この度の長期金利の引き上げが上限引き上げが日本の経済に与える影響を
教えてほしいという内容ですね。
文の主体が「私(経済雑誌の編集者)」なので、尊敬語が使われている
1 (ご教示になりたく)
は、間違いです。
また、「教える」という動作は、先生(経済学者)→私(経済雑誌の編集者)なので、自分側から立てるべき相手側の内容ではありません。
そのため、謙譲語Ⅰが使われている
2 (ご教示されたく)
も、間違いです。
「教えてもらう」という自分側の行為・ものごとを聞き手に対して丁重に述べる
3 (ご教示賜りたく)
が良いですね。
これが正解です。
四
「して差し上げる」は、恩着せがましい印象になり、不適切な場合がある。
選択肢で使われているのは、動詞の「引き受ける」ですね。
それぞれの選択肢を見てみると、
1 (お引き受けなさいます)
は、「お~なさる」という尊敬語
2 (引き受けて差し上げます)
は、「差し上げる」という謙譲語Ⅰ
3 (お引き受けいたします)
は、「いたします」という謙譲語Ⅱが使われていることがわかります。
尊敬語とは?
相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
謙譲語Ⅰとは?
自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
謙譲語Ⅱとは?
自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
「引き受ける」という動作の主体は、「私(話し手)」なので、尊敬語が使われている
1 (お引き受けなさいます)
は、間違いです。
間違えやすいのは、
2 (引き受けて差し上げます)
ですね。
「差し上げる」は、自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べる謙譲語Ⅰなので、一見良さそうに感じるかもしれませんが、
引き受けてあげます
のように、敬語を使わない表現にしてみると、違和感があるのではないでしょうか?
シンプルに、丁寧語だけを使った
引き受けます
であれば、問題ありません。
しかし、
2 (引き受けて差し上げます)
- 押しつけがましい印象になる「あげる」が付加され、
- それを敬語にして「差し上げる」にしている
点が間違いです。
話し手側の行為である「引き受ける」を聞き手である取締役に対して丁重に述べている
3 (お引き受けいたします)
が良いですね。
これが正解です。
五
不自然な二重敬語になっていないか?
選択肢で使われているのは、動詞の「購入する」ですね。
それぞれの選択肢を見てみると、
1 いつ(ご購入いたされた)ものですか。
は、「いたす」という謙譲語Ⅱ
2 いつ(購入された)ものですか。
は、「~(ら)れる」という尊敬語
3 いつ(ご購入になられた)ものですか。
は、「ご~になる」という尊敬語に「~(ら)れる」という尊敬語が付け足されたものであることがわかります。
謙譲語Ⅱとは?
自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
尊敬語とは?
相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。
敬語の指針
平成19年度2月2日
文化審議会答申
「購入する」という動作の主体は、聞き手である「買った物を返品しに来た客」ですね。
自分側の行為・ものごとなどを丁重に述べる謙譲語Ⅱが使われている
1 いつ(ご購入いたされた)ものですか。
は、間違いです。
「買った物を返品しに来た客」を立てるために尊敬語が使われている2か3が答えなのですが、3の文は、なんだか不自然ですね。
3 いつ(ご購入になられた)ものですか。
不自然さを感じるのは、
- ご購入になる
- ~(ら)れる
という尊敬語が重ねて使われていることが原因です。
二重敬語と呼ばれるもので、習慣として定着しているものもありますが、まだ一般的には適切でないとされています。
シンプルに尊敬語が使われている
2 いつ(購入された)ものですか。
が良いですね。
2が正解です。